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浦野 創
JAERI-Research 2004-027, 131 Pages, 2005/02
Hモードプラズマのエネルギー閉じ込め特性のプラズマ密度依存性,プラズマ形状効果,不純物ガス導入の効果及びコアプラズマの熱流束の影響をそれぞれ解明した。また国際マルチマシンデータベースを用いて、JT-60UにおけるHモードの閉じ込め特性の他装置との比較を行った。高密度領域では、ペデスタル肩の温度の低下に伴って、コア部の温度勾配特性長を一定に保つように中心部温度が低下した。高三角度化及びアルゴン注入によるHモードについても、ペデスタル温度の上昇が炉心プラズマの閉じ込めを決定することがわかった。また炉心プラズマの熱流束が増加しても、温度勾配特性長を一定に保つように熱拡散係数が増大した。国際マルチマシンデータベースを用いた検討では、高三角度化が将来のトカマク炉において適した運転手法であることを示した。
櫻井 真治; 飛田 健次; 西尾 敏
プラズマ・核融合学会誌, 80(11), p.955 - 958, 2004/11
球状トカマクの周辺プラズマ研究の進展をレビューするとともに、低アスペクト比トカマク型発電炉のダイバータ熱流制御の成立性について概念検討を行い、ダイバータの除熱能力に対するストライク点での磁気面間隔拡大比,ダイバータ板の傾斜角及びプラズマ三角度等の効果を評価した。弱磁場かつ高安全係数の低アスペクト比トカマクではスクレイプオフ層の熱流幅が広いためストライク点の磁気面間隔拡大比10として受熱面積をポロイダル方向に拡大できればダイバータ部での放射冷却が不要となる。その場合、ダイバータ板の傾斜角などを考慮するとダイバータレッグ長さとして3mが必要となる。核融合出力3GWを想定してケーススタディを行った結果、低三角度配位では、type II ELMによるELM熱負荷低減が期待できない反面、ダイバータコイルを遠ざけるなど配位を工夫することで十分なレッグ長さを確保して上記の条件を満足し、ELM熱負荷も1MJ/mまで低減可能となる。低三角度では高密度での閉じ込め性能劣化が懸念されるが、大半径が小さく内側ダイバータ領域が狭くなる低アスペクト比トカマクの熱流制御としては魅力的な選択肢の一つである。
鎌田 裕; 竹永 秀信; 諫山 明彦; 波多江 仰紀; 浦野 創*; 久保 博孝; 滝塚 知典; 三浦 幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A279 - A286, 2002/05
被引用回数:77 パーセンタイル:89.65(Physics, Fluids & Plasmas)高三角度化及びペレット入射による高 ELMy Hモードの性能向上と、それを支えるペデスタル構造について報告する。高三角度化により、高閉じ込め・高規格化ベータ完全非誘導電流駆動プラズマを、瞬間ダイバータ熱流束の小さなGrassy ELMy Hモードと共存させることに成功するとともに、負イオン源NNB入射により、高HHファクターHH=1.2,高規格化ベータ=3をグリンワルド密度指数60%で達成した。また、連続固体水素ペレット入射により、高閉じ込めが得られる密度上限を伸長した。このとき、通常のガス供給法と比べて、同密度で3倍も高い周辺温度が得られた。周辺ペデスタル部の圧力限界がポロイダル値とともに改善されることを見いだし、コア部からペデスタル部を含む全領域における分布の観点からHモードプラズマの性能決定プロセスを明らかにした。
藤田 隆明
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A19 - A35, 2002/05
被引用回数:28 パーセンタイル:63.84(Physics, Fluids & Plasmas)内部及び境界輸送障壁の空間構造についてレビューする。高閉じ込め,高のためには、大きな内部輸送障壁半径,高い境界輸送障壁(ペデスタル)圧力などが望まれ、それらを規定する物理機構についての理解が必要である。ELMのない定常Hモードの境界輸送障壁においては、ELMより高い周波数の揺動が存在し、粒子を排出して定常性を得ている。径電場シアや安全係数分布の制御により内部輸送障壁半径の拡大が得られている。負磁気シア放電でしばしば見られる中心部の分布が平坦となる箱形の輸送障壁が形成される機構については、まだよくわかっていないが、大域的な構造形成と捉えるアプローチが有効と思われる。高自発電流割合における圧力分布と電流分布の定常性に関しては有望な結果を得ているが、さらに長時間の実験が必要である。高三角度配位にて内部輸送障壁によるプラズマ圧力の増大によりペデスタル圧力の向上が得られた。
浦野 創*; 鎌田 裕; 白井 浩; 滝塚 知典; 久保 博孝; 竹永 秀信; 三浦 幸俊; 波多江 仰紀; 福田 武司
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A437 - A443, 2002/05
被引用回数:18 パーセンタイル:50.76(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおける高三角度及びAr入射のELMyHモードの高ペデスタル温度到達の機構及びコアプラズマの熱輸送を解析した。高三角度では、境界温度は高パワー加熱によるの増加とともに上昇し、コア部の温度分布形状は保存され、ペデスタル温度に依存しないことを明らかにした。一方、Ar入射放電では、中心がピークした密度分布が得られ、重水素放電と比べると、相対的にペデスタル密度が減少することから、ペデスタル温度は上昇した。さらに、温度勾配特性長は保存され、コアの温度も上昇した。また、同じNBIパワーで重水素放電と比較すると、放射損失流の増加により、熱伝導流束は減少することから、熱拡散係数が減少することを明らかにした。
浦野 創*; 鎌田 裕; 白井 浩; 滝塚 知典; 久保 博孝; 波多江 仰紀; 福田 武司
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(1), p.11 - 21, 2002/01
被引用回数:23 パーセンタイル:58.47(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて高三角度ELMyHモード実験を行った。低密度領域においては、タイプIのELMが確認され、高三角度プラズマで高いペデスタル圧力を形成した。一方、高密度領域においてはタイプIIIのELMが確認され、ペデスタル圧力は密度とともに緩やかに減少した。低三角度プラズマと比較すると、高三角度プラズマでは高いペデスタル温度が得られ、同時にコアの温度もほぼ同じ割合だけ上昇した。温度分布は、ある温度勾配特性長で保存される。プラズマ形状は境界近傍のトロイダル磁気面に強く影響するので、高三角度化による周辺部安定性の改善が高いペデスタル温度をもたらし、その結果としてコアの温度が上昇したと考えられる。
藤田 隆明; JT-60チーム
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.3, p.87 - 93, 2000/00
JT-60Uにおいては、トカマクの定常運転の科学的実証に向けて高ポロイダルベータモードと負磁気シアモードの最適化を進めている。前者においては、圧力分布の最適化により高三角度配位にて規格化ベータ2.9、Hファクター2.2~2.4を維持した。定常性能は抵抗性のMHD不安定性により制限された。電子サイクロトロン波の入射による抵抗性不安定性の振幅の減少を観測した。負磁気シアモードにおいては、等価核融合エネルギー増倍率0.5を0.8秒間維持した。維持時間は安全係数の極小値が2となった時に発生するコラプスにより制限された。高三角度の負磁気シアHモードにおいて、自発電流による負磁気シア配位の維持を実証し、定常的な圧力分布及び電流分布の下でHファクター3.6、規格化ベータ2を2.7秒間維持した。Hモードプラズマへのアルゴンガスの入射により、グリンワルド密度の70%の高密度領域においてHファクター1.4を得た。
Kramer, G. J.*; 三枝 幹雄; 小関 隆久; 草間 義紀; 木村 晴行; 及川 聡洋; G.Y.Fu*; C.Z.Cheng*; 飛田 健次
Physical Review Letters, 80(12), p.2594 - 2597, 1998/03
被引用回数:45 パーセンタイル:83.72(Physics, Multidisciplinary)三角度が励起する三角度励起アルフベン固有(NAE)モードを、イオンサイクロトロン波帯高周波と中性粒子入射を用いた複合加熱実験時に、JT-60Uにて世界で初めて観測した。その際、楕円度励起アルフベン固有(EAE)モード、トロイダルアルフベン固有(TAE)モードも、同時に観測した。また、NAEモードの励起に必要な高速イオンのベータ値の閾値は、TAEモード励起と同程度になるプラズマパラメータが存在することが判明した。計算コード(NOVA-K)による解析によれば、観測されたNAEモードは、規格化小半径r/aで0.8以上の周辺部に励起されたと推定できた。また、測定データから求めたアルフベン共鳴連続スペクトルの構造から、容易に励起可能と考えられたEAEモードは、内部インダクタンスが低い場合のみしか観測できなかった。
松川 誠; 寺門 恒久; 岡野 潤; 信坂 裕通*; 三浦 友史; 閨谷 譲; 木村 豊秋
Proceedings of 17th IEEE/NPSS Symposium Fusion Engineering (SOFE'97), 1, p.548 - 551, 1998/00
JT-60では、プラズマの閉じ込め性能向上のために1995年から高三角度配位でのプラズマ実験を行っている。本論文は、このためのポロイダル磁場電源の改造と、その運転結果についてまとめたものである。電源設備においては、プラズマ電流の増大に合わせて順次サイリスタ変換器の組み替えを行い、現在は2MA以上のプラズマ電流に対応可能である。その結果、プラズマ電流1MAでは三角度を従来の0.1から0.6程度に、2MAでは0.4程度にまで運転領域を拡大させることができた。実験では、MHD発生時の水平磁場コイル電源の過電流が問題となったが、変換器制御系に微分リミターを導入することで対策の目処を得た。また高三角度配位ではX点の高さとともに半径方向の制御が可能なことを示し、ダイバータアップグレード後のプラズマ制御についての見通しを得た。
内藤 磨
Fusion Technology 1996, Vol.1, p.215 - 220, 1997/09
JT-60Uにおける最近の定常化研究の成果いついて報告する。これまでの高ポロイダルベータHモードに加えて、定常トカマクで想定される負磁気シア運転、プラズマの安定性を高めるための高三角度運転についての研究を進めた。負磁気シア運転では中心部での顕著な閉じ込めの改善を実現し、核融合増倍率0.63を達成した。また、負磁気シア運転の持続、高密度ダイバータとの共存にも成功した。高三角度運転では閉じ込めと安定性の向上により準定常的な高性能放電を持続させることに成功した。この他、負NBI装置の進展状況、ダイバータ改造計画、JT-60SU構想についての報告を行う。
JT-60チーム
JAERI-Research 97-047, 151 Pages, 1997/07
1996年、JT-60Uのプロセス性能は、プロセス形状及び分布制御を最大限に生かすことによって、負磁気シア放電、高pHモード放電、高三角度放電という高閉じ込め領域において格段に改善した。負磁気シア放電において、Q=1.05という等価核融合増倍率を得て、臨界プラズマ条件を達成した。高pHモード放電では、核融合積とイオン温度の世界記録を更新した。高三角度配位の高pHモード放電では安定性が改善し、ITERを模擬した高性能プラズマの維持に成功した。負イオン中性粒子入射(N-NBI)実験は、1996年3月より計画通り開始された。400keV及び2.3MWに達するN-NB入射によって、加熱・電流駆動特性の取得がITERを支援して実施された。負磁気シア放電のへのネオンガス入射によって、高性能プラズマと両立する放射冷却ダイバータの形成に成功した。
鎌田 裕; 芳野 隆治; 牛草 健吉; 閨谷 譲; 及川 聡洋; 内藤 磨; 徳田 伸二; 白井 浩; 滝塚 知典; 小関 隆久; et al.
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.247 - 258, 1997/00
JT-60U装置では、ポロイダル磁場コイル系の改良により、プラズマ断面の三角度を、従来の約0.1から0.48まで上昇させた。これにより、プラズマ周辺部の不安定性であるELM及び、内部低n不安定性を安定化することに成功した。この結果、規格化ベータ値は、同様な圧力分布及び内部インダクタンスを持つプラズマにおいて、約2倍に上昇した。エネルギー閉じ込め性能も、三角度とともに上昇することが分かった。さらに、従来よりも高電子密度で良好な閉じ込め性能が得られた。ELMの質は、小振幅、高周波数となり、ダイバータ板の熱負荷集中の観点から好ましいことも分かった。以上の改善により、高い総合性能(閉じ込め改善度2、規格化ベータ値。2.5、完全非誘導電流駆動(NB駆動電流40%、自発電流60%)を持つプラズマを約2秒間準定常に維持することに成功した。
木村 晴行; JT-60チーム
Physics of Plasmas, 3(5), p.1943 - 1950, 1996/05
被引用回数:28 パーセンタイル:67.01(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおける高性能化、定常化研究の最近の成果が発表される。(1)大体積・大電流領域においてNBI+ICRF複合加熱を用いてHモードの生成と鋸歯状振動の安定化により高性能プラズマが得られた。(2)高三角度形状によりプラズマ境界部での安定性が向上し、閉じ込めの改善が得られた。(3)負磁気シアの形成に伴い電子の輸送障壁が現れることが初めて観測され、かつ顕著な閉じ込めの改善が得られた。(4)ITERの緊急課題であるHモードへの遷移に必要な加熱パワーの比例則が導かれた。高pモードの内部輸送障壁の形成にはプラズマ中心部への加熱パワーの重要であることが示された。(5)プラズマのトロイダル回転の制御によりTAEモードの制御が可能となることが初めて検証された。
JT-60チーム
JAERI-Research 96-018, 231 Pages, 1996/03
プラズマ電流を増大し、ITERと等価なq3の領域での立上げの最適化を行い、高I-Hモードの領域を4.5MAまで拡大した。高三角度実験では、三角度を0.1から0.3~0.4に上昇させることでELM発生時の周辺圧力勾配を約2倍改善した。電流立上げ中のNB加熱により負磁気シアを形成し、電子及びイオンの輸送障壁を確認し、最大Hファクタ2.6、高Hモードと同程度の規格化ベータ2.4を得た。この負磁気シアをLHRFを用いた電流分布制御により、約7.5秒間維持することに成功した。ネオンと重水素の複合注入の手法により放射冷却ダイバータを形成し、重水素単独注入に比べて高密度でのHファクタの減少が緩和できることを確認した。接線NBによりトロイダル回転速度を制御することで、TAEモードの発生を制御することに成功した。
横溝 英明; 永見 正幸; 嶋田 道也; N.H.Brooks*; R.P.Seraydarian*; 新谷 吉郎*; 前野 勝樹; 吉田 英俊; 伊尾木 公裕*; 出海 滋*; et al.
JAERI-M 9698, 29 Pages, 1981/09
非円形度1.8までのプラスマをダブレットIII装置で安定に制御することかできた。装置の制御応答が不十分なため、1.8以上の非円形プラズマは垂直方向に不安定となる。この不安定を制御している電源を断にすることによって、いろんな非円形度のプラズマの位置不安定の成長率を測定し、コイルによるパッシブな安定化効果を考慮した値と比較した。
菊池 満
no journal, ,
磁場核融合炉研究における除熱の問題を解決する方法として提案している負三角度プラズマは球状トーラスでの試験が容易であり、本研究会において磁場核融合炉の除熱の問題と球状トカマクへの適用の可能性について報告する。
菊池 満; 滝塚 知典*; 古川 勝*
no journal, ,
負三角度トカマク配位は、トカマクの除熱性能を飛躍的に改善できる可能性をもつものの、TCVで観測されている閉じ込め改善機構については、いまだ十分な理解ができていない。本講演では、トロイダルドリフト波の線形構造を決めているバルーニング固有関数の構造やフローシアの影響について現状の理解を整理することを試みる。
菊池 満; Medvedev, S.*; 滝塚 知典*; 長崎 百伸*; Cheng, D.*
no journal, ,
トカマク型核融合炉の除熱性能の飛躍的改善を目指して負三角度トカマク(NTT)の可能性を提案している。本配位は磁気丘であるが適切な分布最適化を行い周辺部の磁気シアを強くすることで、規格化ベータ値3.2程度が安定であることを明らかにした。さらに、ITER等で採用されているシングルヌルダイバータの理想MHD安定性を調べたところ、適切な分布制御により規格化ベータ値3以上が安定であることを見出した。これにより、滝塚らによって提唱されている磁束菅拡張ダイバータが可能となり、磁束菅拡張係数~2.7が得られダイバータ熱流束の大幅な低減が可能になると予想される。